撮影中お客様によく聞かれること。それは「何枚撮っているんですか?」
大量に撮影するカメラマンと、あえて撮影する枚数をセーブしているカメラマンがいる。
様々な撮影スタイルがある中で、私は前者のタイプである。
その理由は素晴らしい瞬間を逃したくないからである。
1.実際、何枚撮っているのか
私の場合、状況にもよるが、
写真を100枚納品する場合、800〜900枚撮影、200枚納品時は1,000〜1,200枚撮っている。
2.なぜそんなに大量に?
それはもちろん、これまで失敗して後悔してきたからである(笑)
失敗って具体的にはどんな写真でしょう?
いい表情なんだけど口角がちょっと下がってる……
最高に笑顔なのに目をつぶっている……
素敵なんだけど風で着物の裾がめくれている……
あぁ、数え上げたらきりがない。
「あとほんの少しこうだったら」なんて思ってきたことが多くあるからこそ、
大量に撮影するのである。
3.「そんなのPhotoshopで直せばいいじゃん」
と思うかもしれない。確かに直せるものもある。
顔が同じ向きでカメラを向いている2枚の写真があり、
片方が目をつぶっている、ってな場合は、
空いている方の目をコピペ、周辺を軽くぼかせば終わり。
ものの10秒である。
しかし、動き回って撮影した写真の場合、
写真一枚一枚は顔の向きや角度が微妙にばらついており、
表情もくるくると一瞬で変わっているため、
部分的にコピペして修正するには無理があるのだ。
4.大量撮影を可能にしたのはデジカメの恩恵
1,000枚撮るなんて、デジカメ時代はできなかったこと。
なぜって、コスト、シャッターチャンスの面からである。
まずコストについて。
1,000枚は36枚撮りフイルム27.7本分にあたる。
フイルム代300円/本として=¥8,310-、
現像代800円/本として=¥22,160-
ちなみにブライダルスナップ撮影の場合、
(結婚式当日の新郎新婦、挙式、披露宴撮影の通常パターン時)
約7時間の密着撮影でもフイルムを20本撮ったら、
材料費かけすぎでコスト面の心配をするレベルである。
こんな膨大なコストで儲けが出るはずがない。
次にシャッターチャンスについて。
フイルムを交換している間は撮影ができない。
撮影のリズムを崩さずにタイミングよくフイルム交換するには、
何台ものフイルムを装填した同じカメラが必要。
これまた膨大なコストである。
ということで1,000枚撮るなんて、フイルム時代には高級なことだったのです。
デジカメは以前はこんな高級だった撮影方法を簡単にできる、魔法のカメラ。
なので、その恩恵を受けるべく、たくさん撮影したほうがいいと思っている。
5.少なく撮ろうと思えば撮れる
少ないほうが、写真をパソコンで選ぶ時間が短くなるので、
仕事は早く終わる、すなわち時間コストがかからないので、
コストパフォーマンスがいい。
それでもたくさん撮るのはいい写真が撮りたいからである。
6.小さな違いの積み重ねがよい写真になる
たくさんの写真を撮影することで、
目元や口元の微かな表情の違い、
手足の仕草など、わずかな違いを見比べ、
最良の写真を選択することの連続が、
よりよい写真となり、お客様に喜んでいただけることにつながっていると
考え、毎日大量の写真を撮影、選択の修行に励んでいるのである。